The Beatles EIGHT DAYS A WEEK THE TOURING YEARSを見てきた

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いくらThe Beatles好きだからといって*1、ぶっちゃけアンソロジーシリーズでいろいろライブ音源は出てるし、Live at the bbcシリーズで質のよいライブ音源もあるし……とそれほど期待せずにいきましたが全体的にはなかなか面白い内容でありました。

基本的にはライブ活動を通したビートルズという切り口で進んでいくので、ライブ活動を停止した後期ビートルズあたりはLet it be時期まですっ飛んでいくし、ライブ活動を停止するまでのメンバーの気持ちのうつりかわりなんかはアンソロジーシリーズを言及するまでもなく、様々な媒体で描かれてきたことなので基本的には知ってる話である。

ただあの時代の空気感をいかに伝えるかというところは結構頑張っていたと思う。観衆がShe loves youを合唱しているシーンが白黒の映像で映し出されたが、あのシーンは結構胸にきた。今の時代にああいう風に歌うことあるのかなぁという思いとともに、あの時代の空気感を感じた。またあの頃世界的(というかアメリカに絞ってか……)にどういう事件があったかも関連づけられ、公民権運動の激しいアメリカ南部の公演では契約で白人黒人分けることはまかりならんと突っぱねる新事実もあったり、結構世界史を勉強した記憶を掘り起こされたりしました。

後はリアルタイムで体験してきた人にインタビュー取るのはうまいなぁと。あのときどうだったのかを語るにはよいもっていきかたですな。

それにしても拡大していくライブ会場で、まともなPAもない状況なのにあれだけ残っている音源などでレベルの高い演奏をしているのが、ハンブルグ時代などでもまれまくったためなのかなんなのか。映画のあとにシェアスタジアムでのライブ映像が30分流れていましたが、5万人という大観衆の中で演奏がよれることもなくきっちり仕事していったのがすさまじい。自分の身に置き換えたときにまともなモニターもなく自分も音も聞こえない状態で、なぜあの演奏ができるのか、そのへんこともしっかり掘り下げてほしかったなぁとは思う。

なので個人的な感想としてはThe Beatlesのライブ活動を俯瞰するにはよい映画、でももっと細かなところを掘り下げるのもしてほしかったというところでしょうか。2時間半という長丁場なのでちとおすすめしにくいけど、それなりに満足感はあるのでひまなときに見てみるのもよいのではないでしょうか。

そういやちょっと前にハリウッド・ボウルでのライブ音源がCDとして出ていて、自分もちょくちょく聴いているのだけどこれのレビューはまた別にあげようかな。

*1:しかもめんどくさい勢である