結論。
5回全て劇場内で涙が頬を伝いながら見ているぐらい、そしてまだ見に行く気満々なぐらいはまっている。
人の心をつかんで離さず、感情に揺さぶりをかける素晴らしいものを『傑作』というのであれば、「映画けいおん!」は間違いなく傑作という言葉にふさわしい作品であると力強く言うことができる。いやはや、いくらTVシリーズを見てCDも揃えて原作も買って連載再開と同時にまんがタイムきららとまんがタイムきららキャラットを久々に毎月購入するぐらい、どっぷりとはまっちゃってるとはいえ、こんなに心動かされたのはいつ以来だろうかと思ってしまうぐらいですよ。
最も、他人の批評を覆すほどの材料があるわけではない。確かに1期・2期と見続けた結果としての感動というものもあるでしょう。梓の最後の台詞が、演出としてああなっていたのは2期最終回を見てないと分からないと思う。ただ映画としての起伏が足りないだとか後半と前半の繋ぎがスムーズじゃないとかなんだとか言われても、「はい、そうですか」としか言いようがないのです。
なぜならば、「けいおん!」だからとしか言いようがない。「あなた」はけいおん!の中で誰だったのか? - 日々の御伽噺とか過去にもたびたび触れているので繰り返しになっちゃうけど、やっぱりあれは自分の体験と恐ろしいまでに重なっちゃうのです。実際にそれを経験しているかいないかに関わらず、あれを自分の体験として認識し心が揺さぶられる。
まあそんな自分語りはゴミ箱にシュートしておいて、「映画けいおん!」ほんとキャラクターの機微が素晴らしいですよねぇ。唯なら、澪なら、律なら、紬なら、梓なら、さわ子なら、憂なら、純なら、あのクラスメートなら……どのキャラもそのキャラなそういう行動をする/そういうことを言うんだろうなという自然さがすっと入り込んできて、うるうるしちゃうんですよね。
さて5回も見に行っていると「このシーンめっちゃすき」ってところが出てきまして。いくつか上げるとすると……
学校の登校日、教室のシーン
姫子おおおおおおおおおおおおおおお!
ふう、取り乱してしまいました。
ここは教室内のグループがそれぞれ勝手にしゃべっていて、なんとも休み時間の雰囲気で「あるある」的なノスタルジーを感じちゃいます。バレー部が海外旅行に行くことを話している横で、唯とムギがそれを聞いて、その後ろを澪がベースを教室の後ろに置きに行く……こういう細かいところがきっちりしかしさりげなく描かれてて、仕事の丁寧さに感服しました。
寿司バーの演奏シーン
演奏そのものじゃなくて、「チューニングしている時間が……」のところ。
あそこで唯がじゃらーんと開放弦の音を鳴らして梓と澪が音を合わせていくのだけど、放課後ティータイムはキーボードというある意味チューニングいらずの楽器があるのに……というところがミソ。
いくら時間がないといってもキーボードの音を出して合わせれば、全体的にはチューニングが合うはずなのに、唯のギターに合わせているということが、逆に唯の絶対音感に梓も澪も信頼を置いていることが分かってとてもいいシーンです。
通り過ぎるAbbey Road
あまりにさりげなく横断していったので、ふいてしまった。
そもそもAbbey Roadのジャケットが生まれたのも、レコーディング期間中に「いちいちアルバムジャケットのために、めんどくさいことしたくないから、近場ですまそうぜ」というのが発端だったから、あのあっさりっぷりは正しいっちゃ正しい。
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教室ライブ
机を前に寄せて、ステージを作る。
2期OPを思い出した人もいるでしょうが、それよりも律が「(机をステージにして)いいのか?」といったことに対して、「後でふけばいいじゃん」と返事が返ってきたところ。高校ぐらいまでの机って、自分の城的な感覚があって汚されたりとかしたらよくよく喧嘩になってたりしてたのですが(少なくとも自分が行っていた高校まではそうだった)、そういうのを気にしないのはやっぱりHTTのライブを見たいがためなのか、なんのてらいもなくHTTのためにステージを作っているクラスメートを見ると、やっぱ愛されてるんだなぁと思います。
ライブそのものところだと、五月雨20ラブで律が2番目の歌詞に入る直前のドラミング。バスドラムで1キックからスネアとタムを1ショット(ズッダン!と入るところ)。放課後ティータイム in Movieの音源だと0:50あたり。このパターン好きで好きで。タムとスネアのコンビネーションって素敵じゃないですか?
そしてU&I。このシーンはだめです。何度見ても涙腺が持ちません。
映画「けいおん!」劇中歌アルバム放課後ティータイム in MOVIE
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ラスト
「彼女たちのAbbey Road」。
某所にて敷居亭とか言われる何かの新年会で、id:pushol_imasがこのフレーズを出したときには悔しくてね。ただ一つ言うなら、The BeatlesのAbbey Roadはバンドとしての崩壊だったわけだけど、彼女たちはまだまだ未来は続くという希望。その先にあるのは……
ED
去年四重人格ディレクターズカット買っちゃったんですよね。
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まさかね、ブライトンとはね。さらば青春の光、The Kid's are Alrightとはね。Singing!もリフ重視である意味Britishな雰囲気漂う音作りですし、ここの部分はまた別途考察したいですぞ。
まだまだ見ていたい
ずっと映画館に通い詰めても、もっともっと見たくなるだろうなという予感が1回目見終わった瞬間からありました。MOVIX京都からJEUGIA三条本店に行って、店の前にムスタングやジャズベースが設置されるのを眺めながら、「来週も行こう」と思いました。
次の週、その次の週、またその次の週。年明けて昨日。やっぱりもっともっと見たいという実感になってきました。とはいえ、公開期間というものがあるので、BDなりDVDなりで手元に早く置いておきたいですね。
追記
すっかり書くの忘れてた。
映画『けいおん!』は勝ったのか? - Something Orange
ぼくはまだ見ていないが――というか、テレビ版を途中までしか消化していないので、あえて見に行く気になれなかったのだが、映画『けいおん!』は大ヒットを遂げたようである。
映画『けいおん!』は勝ったのか? - Something Orange
ぼくには、自分にとってそれがおもしろいか否か、ということのほうがずっと重要であり、そして、どうやら『けいおん!』はそういう観点から見ても楽しめそうな作品である、ということは喜ばしいことだと思う。
映画『けいおん!』は勝ったのか? - Something Orange
見に行ってください。先に映画でその後1期・2期見ても、どっちでもいいので。
見た時間がこれほど幸せなこともないですぜ。