Live At The Hollywood Bowl

LIVE AT THE HOLLYWOOD

LIVE AT THE HOLLYWOOD

自分が聴き始めたころには廃盤で聴くことはかなわなかった音源という意味では結構感慨深いものがある。1987年の初CD化音源からLive At The BBC、アンソロジーシリーズ、08年リマスターCD(モノとステレオ)と流れを追って聴いていたわけだけど、公式で唯一でたライブレコードを元にしたアルバムというのはとてもそそられる。

なので最近は仕事中によくかけているのだけど、昔の3トラック音源とは思えないほど音の分離がよい。まともなPAもライン録音もなかった時代だというのに各楽器の音や声がダマにならず個々に聞き取れるというのは、いやはや技術の進歩はすごいなぁと思ってしまう。Roll Over Beethovenでのベースのごつさとリッケンバッカーが軽やかに奏でるロックンロールリフやジョージのギターソロの熱さがちゃんと聞き取れるのはすごい。

個人的な印象でいうと、このころだとアンプが大型化しているためか全体的にギターやベースの音色がハードな感触を受ける。今回のボーナストラックに入っているYou Can't Do Thatなんかジョンのギターソロが光る名曲で自分もとても好きだけど、アルバム収録時の音以上にワイルドで危険な香りが漂っている。リッケンバッカー12弦もThe Byrdsのきらびやかな響きより、オーバードライブしてギャンギャン鳴っている。今にも噛みついてきそうだ。Ticket To Rideも似たような感じだが、こちらはテンポが若干遅めでもっとどっしりした印象で迫ってくる。非常にロックバンドだなと感じたのはアルバムのラストに入っているBaby's In Black、3拍子で引きずるようなリズムに全体的にヘビーメタルな印象を持たせる楽器隊。これはロックだ。

そういやギター弾きとしては気になるA Hard Day's Nightのソロ部分。BBCのときはアルバムの音源をそこだけ流すということをやってるのだけど、ここではしっかり3連でソロを弾いているジョージ・ハリスンジョン・レノンのギターカッティングがインパクト大なAll My Lovingなんかも、リズムがよれずかき鳴らしている。どの楽器もそれほど派手なことはやっていないのだけど、ここだ!というところをしっかり押さえた演奏になっていてやはり演奏がうまいとしか言い様がない。

あと観客の歓声、というより悲鳴が、たえまなく聞こえてくるのはBBCシリーズなどのスタジオでのライブ音源と違ってその空間にいる感覚がすさまじい。てかこの歓声の中でよー演奏していたなという感想しか出てこない。この中でぴったりとあわせて演奏しているのだから、ライブバンドとしての実力が恐ろしいほどにあったのだろうと容易に想像できる。

raydive.hatenablog.jp

昨日書いた映画にも通ずるところだけど、ここまで当時の熱をうまく封じ込めたアルバムは他になく、非常に新鮮ではあったと思う。アンソロジーシリーズのようなスタジオ録音中心のものでなくライブアンソロジー的なものが出たりしないかなぁと期待している。でもその前に映画Let it beだしてほしいなぁ。