Effective DevOpsを読んでいる

Effective DevOps ―4本柱による持続可能な組織文化の育て方

Effective DevOps ―4本柱による持続可能な組織文化の育て方

社内(と前職の合同)で読書会をやっている。まだ途中だけどこの本がなかなか面白い。

DevOpsと言われると、一般的に開発と運用のチームが手を取り合って……というイメージがあるが、この本では開発運用にかかわらず組織が必要とする全ての役割の人たちがチーム内、チーム間、組織でどうよりよく仕事を共同で進めていくか、そのキモの部分をDevOpsというのだ、というところがこの本の言いたいところだと思う。今9章のあたりを読んでいるが、ほとんど技術的な話は出てこないしそういうところは本質でないと言いたげな態度が目から鱗である。

そういう意味だと、CIがどうとかマイクロサービスがDockerが、といった個々の技術について書いた本というより、これらの本に近いのかもしれない。が、これらの本は読んでないので似てるかどうは置いておく。

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

文化的に非難の応酬となるような組織では人は働きづらいし、組織・チーム・個人の価値観の認識があってないとうまくいかない。もちろん違いはあることは認め、そこからどうまとめていくか。はたまた合わない人は離れることを恐れてはいけないし、組織としても退場をお願いすることもある。書かれてる内容は至極まっとうな印象を受けていて、はじめに述べたとおりなかなか面白いなと思う。

DevOpsにおけるアンチパターン、いわゆるDevOpsという役職があったり、資格があったり、DevOpsの人を雇えば一人で二人分の仕事をする、などの誤解についてもしっかり書かれている。ワークライフバランスについての記述はわりとシビアで、自分の理解では、結局のところ人を増やして個々の負担を減らそう(できないところはなんとか割り振って仕事の負担を分割しよう)となっていて、現実感もある。チームの団結力が高い方がいいが、高すぎてもサイロ化してしまうなど、バランス感覚が大事な点に言及しているところも、自分は納得感があった*1。ただ、たまにもやっとした記述もあり、いまいち頭に入ってこないところもある。具体的にどうすればいいというよりは、もう少し理想的な状態とはこういうところだ、という書き方になっていて、実際に個々のケースについてどう解決するかはあなたが所属するチーム、組織によって異なると言いきっている。すぐに手を打てる手法を知りたい人にはあまり向いてない本だと思う。

DevOpsというものの考え方を知るためには良い本だと思う。特に開発者や運用に当たる人だけでなくデザイナーや人事の人も、一緒になって読んでみるのがいいんじゃないかな。

*1:し、今の会社ではよくこの辺を考えているんだろうなというところも気がつかされた