モブプログラミング・ベストプラクティス ソフトウェアの品質と生産性をチームで高める
- 作者: マーク・パール,及部敬雄(解説),長尾高弘
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2019/02/23
- メディア: 単行本
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会社でたまたま貸してもらったのだが、なかなか面白かった。 自分は社内でモブプロする機会もあるので、実際の体験と当てはめつつ読んでいって、この部分はやってるな、この部分はできてないなと思いながら読み進めていった。
基本的にモブプロいいよと啓蒙する本であるが、モブプロを初めてやるために必要な環境づくり、何を考えなければならないか、もし頓挫した時はどうするかなど、いくつもの具体的な話を交えわかりやすく記されている。実は最後の方に記されているのだが、この本はモブプロ初中級者に対してひとつの型を示した本だ。
いくつか本書に書かれていることから心に残っているところをあげてみると、まず徹底した環境づくりについてが面白い。
- 初めは会議室をとって集まれるスペースを確保する
- ラップトップのキーボードよりは外付けのキーボードで全ての人が触れるようにする
- ディスプレイは全員が読めるようにでかいほうがいい
- 全員がディスプレイを見られるように席は配置する
- エディターは初めは特殊な操作がないほうがいい*1
- ホワイトボードはすぐ書けるよう近くに置く
などなど、物理的な環境から初めにモブプロするならCodeKataなど全員が取り組みやすいものから始めるのがいいとか、上司を巻き込んでモブプロを進めることを納得させること、納得させるその理由についても書かれている。
実際にモブプロを行う際にはポモドーロテクニックなどを使ってタイムスパンを区切り、タイピストを短いスパンで入れ替えていくなど、非常に具体的な内容。モブプロでモブプロをやりたいと思っても、なかなかどうすればいいのかわからない……といった人たちにはお手本になる内容が盛りだくさんである。
自分がこの本良いなと思うのが、モブプロを無理に参加させるのはあまり良くないということも触れられていること。それを踏まえた上で、そういう人たちを最終的にモブプロに巻き込んでいくのはどうすればいいか、いくつかの考え方を提示してくれている。コラム的に書かれてる内容のところにもYes andの話が出てきたり、対立するのではなく違いを認識する、Effective DevOpsなんかにも通じるメンバーへの共感やなんかについても出てくる。*2この辺は結局のところ繋がってるんだなぁと思う。
Effective DevOps ―4本柱による持続可能な組織文化の育て方
- 作者: Jennifer Davis,Ryn Daniels,吉羽龍太郎,長尾高弘
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2018/03/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書他にもエキスパートがいるモブプロの注意点や新しい人が入ってきた場合についてや、モブプロでフロー重視のスタイルをとることの効用やフローを阻害する要因をどう取り除くかなど、そこが知りたいという内容が多いと思う。ひとつ残念なのがリモートの場合についてはそこまで具体的な話がなかったこと。よく言われる話であるが、やはりある程度参加者を知っていることがリモートの場合は必要とは書かれているが、具体的にどういうものを使うかなどはあまり書かれていない。他拠点とリモートでやり取りすることが多い自分にとってはそこが知りたかったが、ここは悩んでいかないといけないところだろう。
一通り読んでみて、いくつか参考にしたいし会社に大きいディスプレイとか机とか置きたい気持ちになってきた。今度話題に出してみようかな?